当社は、気候変動関連のリスクと機会に関する財務影響について、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に沿った情報開示に取り組んでいます。
◇気候変動への対策(取り組み)TCFD提言への対応
気候変動の影響が地球上のあらゆる地域で顕在化するなか、脱炭素社会の実現を目指す取組みが世界的に盛んになっています。
2015年には国連気候変動枠組条約締約国会議(COP21)において2020年以降の温室効果ガス排出削減等のための新たな国際枠組み「パリ協定」が採択され、わが国でも温室効果ガスの削減目標として、2030年度に温室効果ガスを2013年度から46%削減、2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロとする目標を掲げています。
当社グループは、ESGの3つの要素である、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の観点から、時代とともに変化する社会課題の解決と事業成長の両立を図り、お客様、株主、取引先、地域社会など様々なステークホルダーの皆様の期待に応えながら、より良い社会の形成と持続的な企業価値の向上を目指しています。
気候変動への対応につきましては、当社グループにとって重要な課題であると認識し、温室効果ガス削減や省エネルギー化に取り組んでいます。
今後もTCFD提言に沿った気候変動関連情報の開示を拡充するとともに、環境負荷を減らしたサステナブルな事業活動を推進していきます。
◇気候変動関連に対するガバナンスへの対策
当社グループでは、世界的な課題となっている地球環境問題を含む気候変動リスクへの対応は重要課題の一つと認識しています。
気候変動リスクへの対応については、取締役会の監督の下、代表取締役社長を委員長としたグループリスク管理委員会が、気候変動関連を含むグループ全体のリスク分析と対応を行っています。
グループリスク管理委員会は、当社グループ経営に重要な影響を与える事態が発生した場合、又はそのおそれがある場合に、迅速にかつ必要な初期対応を行い、損害・影響等を最小限にとどめること、またそれらの発生を未然に防ぐことを目的として、2021年12月に設置しています。
気候変動に関するリスクについては、グループリスク管理委員会において、ESG推進プロジェクトTCFDメンバーからの気候変動リスクレビューの報告を受け、全社的リスクマネジメントの中で審議・検討し、特定されたリスクや機会への対応策検討、CO₂排出量の削減等の取り組みを推進しています。
取締役会は、グループリスク管理委員会で審議された重要事項について年に2回報告を受け、気候変動リスクへの対応方針および実行計画等についても審議・監督を行っていきます。

◇気候変動関連のリスク・機会へのシナリオ分析
当社グループでは、TCFD提言にて例示されている気候変動がもたらすリスク・機会を元にシナリオ分析を実施しました。シナリオ分析においては、2℃以下シナリオを含む複数の温度帯のシナリオを選択、設定していく必要があるため、移行面で影響が顕在化する1.5℃シナリオと物理面での影響が顕在化する4℃シナリオの2つのシナリオを選択しました。

◇移行リスク・機会と物理的リスク・機会のビジネスへのシナリオ
移行リスク・機会:脱炭素シナリオ(1.5℃)
移行リスク・機会については、1.5℃目標達成に向けて、低炭素経済への移行に関連した様々な規制などが導入される脱炭素シナリオに基づいて検討しました。
脱炭素シナリオでは、政府の環境規制強化にともなう炭素税導入や、再生可能エネルギー需要の増加による価格上昇など費用の増加、世界規模での地球温暖化対策が講じられることによる資源調達費用の増加が想定されます。
一方で、脱炭素社会実現に向けた環境負荷を低減するため、各店舗に対する省エネルギー設備の導入、太陽光発電の導入を通じての一店舗当たりのCO2削減を進めています。
また、エシカル・エコロジーの拡大に対応すべく、2030年までに環境配慮型PB商品の比率を13%まで引き上げることを目標としており、今後も環境に配慮した商品の開発を進めてまいります。
物流面においても、医薬品流通最適化モデルの推進、ホワイト物流による効率化や生産性の向上により、物流面からもCO2削減の取り組みを進めてまいります。調達面の資源調達費用の増加等のリスクに関しては、お取引先様各社のご協力と相互の信頼関係のもと、サプライチェーンを切らさずにお客様へ安定品質の製品提供を継続していきます。
物理的リスク・機会:温暖化進行シナリオ(4℃)
物理的リスク・機会では、気温上昇での慢性的な健康被害に対応するため、当社店舗で販売している医薬品の需要が一定程度見込めるものと想定されますが、温暖化進行シナリオでは、異常気象による自然災害の発生にともなう、店舗活動の停止やサプライチェーンの断絶が大きなリスクとなります。また、被災や気温上昇による事業活動の停止を回避するためには、空調や災害対策などの設備投資が必要となり、自然災害の頻発化に伴う保険料の増加も店舗運営の負担につながります。
当社は気候変動リスクを含む大災害に対応できるよう、BCP(事業継続計画)体制を全社ベ一スで策定、緊急時にも業務を継続できるよう備えています。
今後も、技術革薪も見据えながらBCP体制の見直しを常日頃から進めていきます。

炭素税の導入による影響
気候変動リスクによる財務的影響については、政府の環境規制強化にともなう炭素税の導入によるものが考えられます。
そのため、GHG排出量が2020年度と同等の場合の4℃シナリオおよび1.5℃以下シナリオにおける2030年および2050年の炭素税導入にともなう影響額を試算しました。
また、試算にあたっては国際エネルギー機関(IEA)のシナリオや国際再生可能エネルギー機関(IRENA)のシナリオ、現在の炭素価格(排出量取引制度、炭素税、エネルギー課税)を用いて試算しています。
なお、今後、再生可能エネルギーの導入等によりGHG排出量を削減していく予定のため、実際に炭素税が導入される時点では、この影響は軽減される見込みです。
◇気候変動関連のリスク管理
当社グループは、リスク管理体制の基礎として、危機管理規程を定め、個々のリスクについての管理責任者を決定し、同規程に従ったリスク管理体制を築いておりましたが、当社グループ経営に重要な影響を与える事態が発生した場合、又はそのおそれがある場合に、迅速にかつ必要な初期対応を行い、損害・影響等を最小限にとどめること、またそれらの発生を未然に防ぐことを目的として、2021年12月にグループリスク管理委員会を設置し、全社的なリスク管理体制を新たに構築しました。
グループリスク管理委員会では、リスクの発生懸念、発生状況を始め、当社グループを取り巻くリスクに関する情報の収集分析を行い、重点対応すべきリスクを選定し、対応を実施することでリスクのコントロールを進めております。
気候変動に関するリスクも全社的な重要リスクの一つと位置付けており、気候変動によって受ける影響を把握し評価するため、TCFDの枠組みに基づいたシナリオ分析を行い、気候変動リスク・機会を特定しています。
特定したリスク・機会はグループリスク管理委員会を中心とする推進体制のもと審議・議論し、リスク管理の状況や重大なリスクの判断に関しては、取締役会への報告・提言を行ってまいります。
当社グループ経営に重要な影響を与える事態が発生した場合、又はそのおそれがある場合に、迅速にかつ必要な初期対応を行い、損害・影響等を最小限にとどめること、またそれらの発生を未然に防ぐことを目的として「グループリスク管理委員会」を設置する。
◇気候変動関連の指標と目標
GHG(温室効果ガス)Scope1,Scope2排出量
2020年度のGHG排出量は、Scope1(事業による直接排出)は4,416t、Scope2(電力消費による間接排出)は251,327tでした。
当社グループは、気候変動が社会の喫緊の課題であると認識し、温室効果ガス削減や省エネルギー化に取り組んでいます。
このたび、持続可能な社会の実現に向けて、SBT(Science Based Targets)として求められるCO2排出削減レベルを考慮し、Scope1,2について、「2030年度に2013年度比一店舗当たりのCO2排出量を54%削減」の目標を設定しました。
GHG排出量の削減にあたっては、各店舗の省エネ、節電を心掛けるとともに、化石燃料を用いない再生可能エネルギーの導入や国が認証するJ-クレジット制度を積極的に活用し脱炭素社会の実現を目指していきます。
